プロの意識として「自分で自分の調子を上げる」というのがある。すべては自己責任というのがプロなのである。言い換えると、プロは他人に調子を乱されることがないのである。
具体的な調子を上げる方法としては、基本的な準備運動のようなものもあるし、ウォーミングアップというのもある。ビジネスマンでも仕事の前に軽くからだを動かして汗を流すというのも、この類かもしれない。頭の中を整理しつつ、仕事の調子を整えるのである。さらにひと手間をかけて、自分だけの調子を上げる準備運動のようなものをやることもある。「さぁ、これで今日もバッチリとやれる」という一種のおまじないやゲン担ぎのようなものである。ラグビーの五郎丸氏が行っていた動作をイメージするとわかりやすいかもしれない。一流のプロフェショナルは必ずこれをやるし、これがあるとないでは大きく違うのである。
なぜならば、自分で自分の調子を整えること自体がプロとしての心構えの基本であるのは間違いはなく、それすらもできずに、誰が悪い、これが気に入らないということでは、うまくいくものもうまくいかないのである。もちろん、(自分に厳しくしており)、他人にも甘やかすと本人にとってもよくないな、と思うことがあれば、戒めるということはある。これは放置しておくと悪いクセがつくな、これは気が抜けて手抜きだな、というアレである。そんなときには、もちろん、難癖の一つもつけようものであるが、ただそれは環境を整えるためのものであり、他人を変えるということではない。例え、親心だとしても、他人を変えようというのはかなりの覚悟がないとできないものである。話題が逸れたので戻ることにするが、つまり、自分で調子を整えることが一番である、ということである。
それは、特にメンタルのことでもある。自分も人のことを言えないのであるが、例えば、「今日はなんとなく調子がよくないから、控えめに無理をしないで行こう」という日があったりする。さらにいうと「今日の占いでは、何をしても裏目に出るので積極的な行動は×」みたいなことが目に留まることがある。でも、そこで決して間違っていけないのは「無理をしないで楽をしよう」ということではないのである。「低空飛行であるが、全速力で飛ぶ」というのが重要である。低空飛行は障害があるので、障害物を避けながら飛ばないといけないのだが、それでも速度を緩めてはいけないのである。速度を緩めると、それはどこまでも地面に近づき、やがては地に落ちるか、着陸、あるいは最悪の場合には不時着する羽目になる。
そうではなくて、速度を緩めずに低空飛行することで、やがて機運をつかんだときに一気に上昇できる。これは間違いのないことである。低空飛行になったときに速度まで落としてしまうのは、一度着陸して、また離陸するというとてつもないロスをしているのである。離陸には相当大きなエネルギーが必要になる。そういう無駄をしないためにも、低空飛行でも速度は緩めないのが鉄則であることを思い出していただきたい。