有給休暇を使ったとしても、実は体調不良による欠勤ということもあるかもしれません。
もちろん、有給休暇の取得を健全に促進することは重要なことです。
この病欠による日常業務や業績に対する影響というのは、受け入れるしかないのでしょうか?
「欠勤による損失」をアブセンティズム(absenteeism)といいます。これは「欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態」を意味します。
それは仕方がないことだと受け入れることもできますが、労働生産性や産業衛生分野では、これの原因や対策を図ろうという試みがなされてきています。
特に、少子高齢化の日本では余裕のある人員配置ができず、急に人がお休みになると困る職場というのは少なからずあるのではないでしょうか。
しかし、高齢者も働く今の時代、持病の一つや二つあってもおかしくありません。いや、若い方でも、食事や運動といった基本的な生活管理ができていなければ、あっという間に生活習慣病やその予備軍になりかねません。
そういった方は検査や通院で、毎月のようにお休みをして、病院にいかなくてはなりません。また、病院にいかないにしても、体調が悪くてお休みをすることもあるのです。
逆に、忙しすぎて、検査や通院すらできないような職場では、本当にいつ従業員が倒れてもおかしくないと言ってもよいかもしれません。
そういったことを考慮すべきかどうかを判断するために、経営者のあなたが見るべき資料は「この1年で病欠がどれくらいあったか」を示す資料です。
有給休暇に病欠が含まれている場合は、複雑になると思われます。(有給休暇の取得に際して理由を問わないのが労基法の原則ですので)
しかし、もっと重要なのは「有給休暇のうち、病欠の割合がわかってしまう職場は要注意」という事実です。
なぜならば、有給休暇で理由を申請させていること自体が従業員にストレスを与えていることになり、そして、ストレスの多い職場は明確にアブセンティズムが高いというデータを経済産業省も示しているからです。
複雑なことをお伝えするつもりはありません。「この1年で病欠はどれくらいあったか」を知ることは、あなたの職場の課題を浮かびあがらせてくれるかもしれない、ということだけ考えてみてください。